洗練された石器作りを。『旧石器時代』【2024-常設展示】
せんれんされたせっきづくりを きゅうせっきじだい 2024 じょうせつてんじ旧石器時代ってなに?
目次 - 旧石器時代と自己紹介 - 旧石器時代って何した時代なの? - 旧石器時代の道具って何? - 旧石器時代ってどうやって解明するの?
旧石器時代と自己紹介
おばんです。小千谷市学芸員の白井です。 白井さんは何の研究者をしている人なのですか? と、よく聞かれます。 隠すことでも無いですが、実は「旧石器時代」なのです。 旧石器時代という時代は人類が経験した最も長い時間です。 でも一番わかっていることが少ない時代でもあります。 旧石器時代を知れば、白井という人間が少しわかるかもしれない。 そんな自己紹介も兼ねて旧石器時代を少し眺めてみましょう。
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旧石器時代って何した時代なの?
旧石器時代は、皆さんが「石器時代」と言えばどんなイメージですか?と聞かれたときに想像する、それです。 雪におおわれた何もない大地に、毛皮を着た、数人の狩人が、手に石槍を持って、マンモスを追いかけている。 そう。その時代のことです。 旧石器時代は、人類が道具を手にしたその日から、土器を手にしたその日までの、数百万年に及ぶ、途方もなく長くつきあった時代なのです。 そのわりに遺跡の数はとても少なく、小千谷市内でも、真人原遺跡(真人町)・天辺原遺跡(山谷)・館清水遺跡(小粟田)など数遺跡しかありません。
Location
- Name
- 真人原遺跡
- Furigana
- まっとはらいせき
では皆さんが想像した、その時代はどうやって解明され私たちのイメージとして定着したのでしょうか? 次に、その解明の仕方を見ていきましょう。
旧石器時代の道具って何?
旧石器時代の道具は、本当はたくさんあったはずです。 石で作った槍、石で作った切るためのナイフ、石で作った毛皮を作るためのナイフ、石で作った木や骨を加工するためのナイフ、石で作った首飾り 毛皮で作った服、毛皮で作った靴、毛皮で作ったテント 木で作った器、木で作った石器の柄、木で作った首飾り 骨で作った槍、骨で作った釣針、骨で作った首飾り もっともっとたくさんあります。 正確にはあったはずです。 どうして「はず」なのか。 それは遺跡を掘っても出てこないからです。 多くの道具は長い時間をかけて朽ち果てているため石器しか出てこないからです。 では、どうして出て来もしないのに、あったことが想像できるのか。 別に妄想しているわけではないのです。 石器に残された痕跡から、たどることができるのです。
旧石器時代ってどうやって解明するの?
旧石器時代の石器を見てください。
他の時代の石器とどこが違いますか? 形。色。滑らかさ。凸凹さ。全部正解です! それが数百万年にわたり体得し、改良した洗練された石器の作り方なのです。 どうやって作ったか、知りたい方は、是非小千谷市学芸員白井まで。 精一杯ご指導させていただきます笑
この石器を顕微鏡などを使い一点一点観察すると、 【どうやってこの石器を作ったのか、作り方がわかります】 よく観察すると同心円状の波波が見えます。この円を上弧状にたどった先が石を割った時の力点で、この観察を繰り返すと、石器をどのように割っていったか、を復元できます。 そのたくさんの石器の観察を繰り返すことで、作り方のクセや作り方の法則性がわかり、作り手の集団性や個性、生活様式がわかります。 【どうやってこの石器を使ったのか、使い方がわかります】 石器を触るとやけに尖ったところとツヤツヤしているところがあります。
その部分を顕微鏡で観察すると、使用した部分の擦れたり潰れたりした方向が分かり、何の作業に使って、何を対象に使ったか、推定することができるのです。 【どうやってこの石器を持ってきたのか、搬入経路がわかります】 旧石器時代の石器に使っている石の大部分は、小千谷で拾える石ではありません。展示資料の館清水遺跡の石器に使われている石は、山形県でよく見られる石です。他の遺跡の資料をみても、新潟県北部や長野県の石が多い傾向にあります。これは旧石器時代の人々の生活様式を反映しているのです。当時の人々は狩猟の獲物を追いかけ、一定の場所にとどまらないと考えられています。このため、良い石を見つけると大切に持ち歩き、必要に応じて加工して使っているのです。 こうして人々がどこから来て、小千谷で何をして、どこに去っていったかを推定することができるのです。 以外と地味な解明方法でしたが、ものすごく観察力と推察力が必要な研究分野です。 是非一緒に石をよく見て妄想してみましょう笑