本当に刺さるの?『石鏃』【2024-常設展示】
ほんとうにささるの せきぞく 2024 じょうせつてんじ石鏃と呼ばれる縄文時代~弥生時代まで使われた石器です。 「矢じり」と言ったほうが伝わるでしょう。 矢の先に付けて、弓で飛ばすことにより、動物を狩る道具です。
石鏃の見どころは、時代・地域を通じてほとんど形が変わらないことです。例え日本・中国・アメリカ・サハラ砂漠・どこであろうともほとんどがこの形状です。そういった意味では完全に機能美として完成したものだったことでしょう。 日本では、およそ1万年くらいの間、作られ続けたのですが、皆さんが想像する形を一貫します。 では、いくつか認められる形の違いは何を示しているのでしょうか。
一応の答えとしては、「時代」です。 正確に言うと「柄」への取り付け方が時代によって変化しています。 ・ 逆ハート形の凹んだところに柄を挟み込む形。 ・ ひし形の尖ったところを柄に差し込む形。 があり、およそ逆ハート形が古い時代に多くみられます。およそ後の時代になるにしたがってひし形になっていく傾向がありますが、それほど変化はありません。
この変化はどうして生まれるのでしょう。 一般的には狩猟対象の変化と考えますが、よくはわかっていません。 石鏃で最も皆さんに聞かれることが、「本当に刺さるの」です。 結論から言えば刺さります。弓を使って速度をつけることで刺さります。ではどうしてこんなに小さいのかというと、速度をつけるために小さくなっています。逆にこれより大きくなると重々しく飛び対象物に当たらないどころか、速度が足りなく刺さりません。このため「丁度いい大きさ」に落ち着いているということになります。 ただこの小さな矢が致命傷になることは少ないです。なので、よく狙い数多く射ることや、毒を塗って射ることが求められます。