【みんなの手で、未来づくり大作戦】2024-常設展示-小千谷市文化財担当者
みんなのてで みらいづくりだいさくせん 2024 じょうせつてんじ おぢやしぶんかざいたんとうしゃ小千谷の文化財を受け継ぎ未来につなげる人たちの、手と声を、聞き取り調査をもとに紹介します。
小千谷市文化財担当
2024‐常設展示② 活動場所:小千谷の全域 白井雅明(1983年12月4日生まれ) 《画像は近日公開予定です お楽しみに!》
①あなたは文化財に関するどんな活動をしていますか
小千谷市の文化財担当者で学芸員でもある。活動は、小千谷の歴史に関する資料の収集、保存、調査、公開をする仕事。その中で自分が一番頑張っているのは「調査」。 この小千谷のまちっていうのが、「小千谷市史」を作られた段階で形ができているような、批判を恐れずに言うなら、そこで歴史の調査が止まっている感じになってしまっている。そこで調べられたものは実はほんのちょっとで、ポテンシャル的にはまだまだある。そういったものを調査しないと誰も気が付かない。そのためにもっとも重要なのは調査。やればもっともっと出てくる。
②普段はどこでその活動をしていますか
小千谷全域。というのは、調査自体現場じゃないとできない。 現場に行くと、そこにあるものとか現象とか、何より人がいて、その人たちと一緒にやるのに意味がある。 特定の施設(ホントカ。や市民会館など)にいるときは、事務員としての作業。現場で、調査したり保存する人と頑張ることが大切。歴史を残したい、勉強したいという人がいればその現場に行って、一緒に汗かいて、泣いたり笑ったりする。
③いつからその活動をしていますか
職業としては令和2年4月から。十日町の下条という、比較的文化圏が小千谷に近い場所の出なので、子どもの頃、知りたい文化圏、学ぶ対象が小千谷だった。民間企業にいたから、遺跡の調査で県内あちこち掘っていたけど、自治体で働くなら小千谷と決めていた。自分のフィールドや、勉強してきた能力を活かせるなら小千谷だと思っていた。ダメもとでもないけど、記念受験みたいな感じで受けた。そん時に、あんまりよく覚えていないけど面接をしてくれた人から、今までの小千谷にない、よくもわるくも職員にいないタイプだから賭けてみたくなったと言われた。
④その活動で大切にしていることは何ですか
いかに市民と関わるか。 俺(行政として)のやりたいことと、市民のやりたいことのバランスを大事にしたい。どっちかが勝ってはダメで、双方が熱くてバランスが取れた状態、お互いの性質、やるべき姿が平均的になると、いい文化財の活動になる。バランスがいいように調整するようにしている。それが市民協働かなと。 あとは、笑顔とかありがとうというような気持ちもバランスよくできるといいなぁ。どちらか一方が笑顔なのではなく、どちらも笑顔とか、どちらも泣いているとか、そういうのがいいなぁと。
⑤その活動でもっと取り組みたいこと、してみたいことは何ですか
人が知らないことはまだいっぱいある、知らない小千谷がいっぱいある。日々やってく中でも、知らないことが見つかっている。 市民の人の中にも、もっと知らないことがある人もいると思う。でも、それは空気のような存在で、気づかないだけで、実はそばにあるかもしれない。ゴミのような役に立たないものが宝の可能性もある。ただ、それを行政が一方的に「宝です!」というのではなく、一緒に探して、宝だと気づくのがいいんじゃないかと思う。みんなで、宝に気づきあう、磨き合う。一緒に掘り起こしていきたい。 小千谷は、人口が3万2千人。一緒にやるのにちょうどいい人口規模で面積だから、市民とできるといいなと思っている。多分、本当の意味でみんなで考えながら、残したいものに気づいて掘り起こしているのは他の自治体にない。文化財、歴史の掘り起こしを総参加でやるという、そういうことができる遺伝子が、小千谷の人にはあると思う。 地域の個性「小千谷らしさ」というのは、文化財という形で可視化されるんだけど、まだまだ見えてないものが多い。今見えているのは、まだまだ上っ面で、そんなもんじゃない。そういう文化の表面の薄っぺらい部分だけではなく、そこに至る過程や思いを掘り起こしていきたい。そういうことがわからないと、地域としてどこに向かえばいいかがわからない気がする。そういう現象も併せて「小千谷らしさ」を発信していきたい。
⑥小千谷の好きなもの、ことは何ですか
なんとなくだけど「心地よい裏切り」があるまち。 たとえば、ひまわり畑はどこにでもあるんだけど、小千谷で見ると他とは違うなという裏切りというか。実際来てみると、聞くだけとは違うよねという裏切りがある。聞いていたことのハードルの低さを、実際に見ると上回る印象。やる前の印象と、やった後の印象にある、面白い裏切りがモチベーションにあったりする。近代化以降の日本は、金太郎飴的にお利口で平均点的なまちがあるんだけど、調べるとどこにでも個性ってものがある。小千谷は、その個性というか裏切りが他よりある気がする。 朝日山とかも普通の戊辰戦跡だと思って調べると、すごいものがある。こうだろうと仮説を立てても上回ってくる。そういう、我々が知っている小千谷はほんの少しで、もっともっといろいろなものがある。 これまでの人たちが築き上げてきた小千谷を表面だけ見て否定して、まちづくりをしている人もいるかもしれない。そういう人には、一回立ち止まって小千谷を見てほしい。
⑦未来の小千谷の人たちに伝えたいこと、のこしたいことは何ですか。
我々は今という時間で、文化財とか小千谷そもそもの部分を残しているけど、どういう形でもいいからその「遺伝子」というものを残していってほしい。これまで小千谷が歩んできたものを少しでも残して、昔の人たちから受けたバトン、思い、魂みたいなものを未来の人に受け取ってほしい。そして「小千谷」という大地、生きている人たちが、前の時代の人たちの息吹を感じながら「今」という時間を確かに生きて、そういう人たちがいたということを次の人たちに伝えてほしい。 (2024年9月)