幼稚園を始めたのは祖父。認可をとってないので正式な歴史には入ってないが、戦前の昭和10年から11年間くらいやっていた。当時、真言宗は古い宗派だから、お寺が幼稚園なんかやるもんじゃないと言われて、極楽寺さんを借りてやっていた。幼稚園70周年をやったとき、極楽寺さんでやっていた期間は入れてないんだけど、その時の卒園生も私たちも入れてくれとやってきたりもした。 祖父は、戦後は自分の寺でやりたいといったが、昭和22年に亡くなった。祖父は、小さい頃お寺に出されたから、母親が恋しいというのが根底にあったのではないかと思う。そこから、小さい頃は母親の愛が必要という思いになったのでは。 幼稚園は、父親が祖父の願いをひきついで、昭和31年から慈眼寺の境内で始めた。自分は、今は理事長をしている。 戊辰については、子どもの頃は特に教えてもらったことはない。いろんな人が来るから、あることなどは知っていた。祖父は戊辰に対しての思いも強かったかもしれないが、父親はそんなに歴史が好きではなかった。

大学から戻ってきてすぐ幼稚園の事務職に入ったので、45年くらいになる。 大学は上智の法学部に行った。寺でいうと、エリートは大正大学の真言学だったが、両親ともそこに行けというのはなかった。お寺に入るとお寺の友達しかできないから、他の友達を作ればという考えだった。あとからすると、キリスト教学が必修だったので牧師さんの友達もできたし、宗教は元をただせば一つなんだなという考えにもなった。

河井（継之助）さんにも影響されてるのかもだけど、義理とか「義」の世界。 只見の寺（継之助の墓があるところ、医王寺か）で継ぐ人がいなくなって、総代さんたちが５，６人で来て、面倒を見てくれと言われたことがある。河井さんを通してつながったお寺なので、お手伝いすべきだと、自分ができることは返すべきだなと、年に数回、法事とかのお手伝いをしている。 受けた恩義は返すべきだと強く感じている。

小千谷の人に、小千谷のよさを知ってほしい。 よそから来た人は、小千谷のよさをわかっている。友人が小千谷に来た時、10年前のほうがよかったと、そのころのほうが小千谷らしさがあったという声もあった。外のことを知らないから、小千谷の良さを知らない。それは残念。 城山にしても、いろんな人が来るし、あれほどいい場所はない。あれだけのパノラマは新潟県内にないから、宣伝したほうがいいと言われたりもする。よそから来た人には、よさがわかるけど、小千谷の人は普通だという。 そういうことを、一つ一つ考えることは必要だと思って、（幼稚園）年長の子を城山に連れていく。そうすると次の週あたりに、お父さんやお母さんを連れて行ったと、子どもたちが言ってくる。そういう小さい頃の体験が必要。 自分も、子どもの頃の思い出はあまりないけど、そういえば、小さい頃に城山に連れて行ってもらったなと。寒ければ背中に新聞紙入れろとか、指にツバつけて立てると風の動きを感じるとか、そんなことを習ったなということは覚えている。 小千谷小学校の創成劇を始めた方は、大功労者。それまでは、どうして古い公立小学校が小千谷にできたかというのを、皆さん知らなかったのでは。小千谷小学校は、長岡藩士のためにできたものという、それに光を当てたといういうことはすごい。小千谷ってすごいんだぞという郷土愛を持ってほしい。

景色。城山からの景色や、小千谷病院の屋上からみた三山がよかった。西脇正久さんの絵にも三山のものがあるけどそれもいい。

自然を残したい。 同級生が小千谷に帰ると何もないというけど、小千谷には自然がある。 （2024年9月）