大明神遺跡発掘調査記録 chapter19≪一番残念な遺構/7月29日≫
だいみょうじんいせきはっくつちょうさきろく ちゃぷたー19 いちばんざんねんないこう 7がつ29にち遺跡では色々な種類の遺構が出ます。竪穴住居・お墓・柱だけで立つ建物・石器を作った跡・料理をした跡・お祭りをした跡様々な形状のものがあります。その中でも「出てほしくない、一番ガッカリする遺構」が『木が倒れた痕跡』です。
【木が倒れた痕跡】
まず木が立っている状況を思い浮かべてください。木は地上部がのびのびと立ち上がり、葉をざわざわと揺らします。一方地下部には木の高さを支えるためにしっかりと根を張っています。それこそ風で倒れてしまわないように地面に力強くしがみついています。では、この根が仮に風に負けてしまった場合どうなるでしょう。答えは上の写真のとおりで、地面ごと横転するのです。こういった木が倒れた遺構を「風倒木」と呼びます。
【竪穴住居の跡が、風倒木によって壊された痕跡】
この地面の横転、ただ一人で倒れてくれれば何ということもないのですが、この木の周りには、色々な遺跡があります。前の時代の竪穴住居やきれいな形をしている土器等々。上の写真の竪穴住居は3本の風倒木によって壊されています。この風倒木の影響により、竪穴住居の形状は全くわからなくなっております。しかも風倒木は木が大きければ大きいほど、根も大きく周囲を大きくまきこんで倒れ、その下にある遺跡を大きく壊します。このため風倒木が出ると、その周りは遺跡が壊れており、遺構が見つけにくいことがわかるため、とてもガッカリするのです。
文:小千谷市学芸員 白井雅明