大明神遺跡発掘調査記録 chapter5≪表土掘削その3/2025年6月13日≫
だいみょうじんいせきはっくつちょうさきろく ちゃぷたー5 ひょうどくっさくその3 2025ねん6がつ13にち表土掘削の途中に一番悲しいことが、遺跡が何らかの事情で壊れていることです。例えば水田耕作や建物の建築、穴が掘られている、盗掘されている、様々な理由があります。今回の調査区では、「昭和30年代の耕地整理」の際に大きく削られていることです。
【耕地整理のために重機が往来した痕跡】
溝状の細長い黒い土が見えます。これは重機のキャタピラーの痕で、縄文時代の遺跡を思いきり踏むことで土が沈み込み、黒い土がたまっています。縄文時代人々が生活していた黄色い土の層まで30cm程度しかなく、大きな重機で削りながら進む時には、気をつけないと踏みつぶしてしまうことになります。
【重機が往来した痕跡を思いきりはがす様子】
当時の重機が踏みつぶしたままでは、遺構の形がとてもわかりにくいです。この時は仕方が無いことなのですが、遺構の形がしっかりわかるまで、縄文時代人々が生活していた黄色い土の層をさらにさらに削り込む必要があります。
【重機が往来した痕跡を思いきりはがして遺構の形がわかった様子】
こうして思いきりはがしたことにより、遺構の形が見つけやすくなりました。例えば、手前の大きな遺構は縄文時代のお墓の遺構、左奥の円形の遺構は竪穴住居の可能性があります。このように表土掘削においては、常に遺跡作業工程の負担とならないよう過不足なく表土を除去しつつも、遺跡を発掘調査責任者である我々が壊してしまわないように、バランスを見ながら進める必要があるのです。 文:小千谷市学芸員 白井雅明