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西脇順三郎絵画展−詩と色彩の交差点−【西脇順三郎ライブラリー】

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ホントカ。知アンカー内「西脇順三郎ライブラリー」展示紹介。(2026年7月~)

おぢやの千の宝
Published on July 6th, 2026(Updated on July 6th, 2026)

01 詩人の眼差しと色彩

【西脇順三郎:言葉を越える「西脇ブルー」】

日本の近代詩を代表する詩人・英文学者、西脇順三郎(1894–1982)。知的なモダニズム詩で世界的に知られる西脇順三郎ですが、実は生涯を通じて数多くの絵画を残した熱心な「画家」でもありました。本展では、彼の絵画世界への扉を開き、その独自の色彩感覚に迫ります。

1. 画家を志した詩人の原点 origin

西脇順三郎は高名な詩人として歴史に名を刻んでいますが、その芸術キャリアの出発点は「絵画」にありました。若き日の西脇順三郎は熱心に画家を志し、近代日本洋画の巨匠である藤島武二の内弟子にまでなった経験を持っています。のちに文学の世界へと進んだ後も、キャンバスに向かう情熱が衰えることはなく、生涯にわたり油彩画、水彩画、墨絵など多彩な作品を描き続けました。

2. 「西脇ブルー」の詩学 poetics

西脇順三郎の絵画(特に油彩画)を観る者を最も強く惹きつけるのは、画面を支配する独特の青です。この深くどこか哀愁を帯びながらも高い知性を感じさせる青色は、いつしか美術界で 「西脇ブルー」と呼ばれるようになりました。

西脇ブルーの特徴

・深く、知的な透明感 ・ヨーロッパの旅情と哀愁 ・詩の言葉とは対照的な、絵画だけの固有の精神性 彼の詩作においては、白や黄などといった様々な色彩が頻繁に用いられるのに対し、絵画においては圧倒的に「青」への傾倒が見られます。ヨーロッパの古い街並みや静ひつな風景を描く中で、この青は単なる背景ではなく、彼の精神世界そのものを映し出す鏡 として機能していると考えます。 『言葉で表現し尽くせないものが、色彩のなかに溶け込んでいる。西脇ブルーは、そんな彼の詩の世界における孤独感の避難所なのかもしれない。』−小千谷市郷土資料館学芸員 白井雅明−

知アンカー2階

西脇順三郎絵画展−詩と色彩の交差点−【西脇順三郎ライブラリー】

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02 文学と絵画の融合

【イメージの遊戯:詩の世界と実験精神】

西脇順三郎の絵画は、彼自身の文学的達成と切り離すことはできません 。西洋における最先端の芸術運動を体現した知的な構成力と、商業主義から離れた『しろうと絵かき』としての自由な実験精神。そこには、言葉とイメージが戯れる独自の空間が広がっています。

1. 詩と絵画のパロディ parody

西脇順三郎は、自身の詩集『Ambarvalia (アムバルワリア)』などに登場する神話的・文学的イメージを、そのままキャンバスの中へ見事に翻訳しました。代表作『太陽』では、「少年は小川でドルフィンを捉えて笑った」という自らの詩の一節をユーモラスに描き出しています。ギリシャ神話などの古典をそのまま崇めるのではなく、軽妙な「見立て」やパロディの精神をもって表現するのが西脇順三郎流のモダニズムといえます。

2. 「しろうと絵かき」としての実験精神 approach

彼は後年、「自分が好きな絵をさがす実験が私の絵を描く唯一の目的である」と言い残したとされます。専門の画壇の流行や商業的な制約から自由であった彼は、自らを「しろうと絵かき」と称し、極めて多彩な表現 に挑戦しました。 ● 西洋的モダン 旅先のヴェニスやヨーロッパの風景を、シュルレアリスムや抽象表現の知的な骨組みを用いて構築。軽妙でありながら確固たるスタイルを持ちます。 ● 東洋的カオスと文人画 晩年には日本画や墨絵、南画(文人画)風のタッチへと接近。落書きのような飄々とした素朴さとユーモアが同居する境地へと達しました。

ジャンルを超えた彼だけの世界観 crossover

西脇順三郎の絵画は、完璧に計算された知的な構図を持ちながらも、決して重苦しくありません 。そこには常に、制度化された芸術を笑い飛ばすような軽やかさと、純粋に表現を楽しむ子供のような眼差しがあります。詩人であり学者であり、そして自由な絵描きであった西脇順三郎の、ジャンルを超越した彼だけの新しい精神が、今も色鮮やかに息づいています。

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