調査成果【市民学芸員体験講座】第34回
ちょうさせいかしみんがくげいいんたいけんこうざだいさんじゅうよんかい「学芸員の仕事は、実に様々。資料の収集、保管、展示をして、さらに講演まで!」 「そんな学芸員の仕事を気軽に体験し、小千谷のまだ見ぬ魅力を一緒に発見しましょう!」 と、そんなことで始まった【市民学芸員体験講座】も3年目に突入。 活動報告や参加者の感想などをご紹介します。
文:小千谷市学芸員 白井雅明
市民学芸員体験講座 第34回
- 内容
- 【発掘調査演習】朝日山古戦場〜榎峠崖地に眠る戊辰戦争の銃弾を救出する〜
- 日時
- 2026年4月11日(土)10時~15時
- 参加人数
- 22人
4月11日は遺跡調査お疲れ様でした! 今年も急斜面での調査にも関わらず、誰一人ケガなく無事に終えることができ、皆さんの足腰の強さに心より感謝いたします! 2年間の浦山陣地南斜面の調査によって、ようやく銃弾が集中している範囲の特定と、そこまで簡単に登頂できる進路が確保できました。参加していない方、もし宜しければ、次の機会があれば是非ご参加下さい! 参加された方は、今一度記憶を消してから是非ご参加下さい笑 今回の調査成果について以下に示します。
【出土遺物の内容】
4時間程度の調査により、43点の戊辰戦争関連資料が出土した。 内訳として、 ・エンフィールド銃弾41点 ・四斤砲弾2点 エンフィールド銃弾は、急斜面部の崖に挿さるものが35点、他は崩落土に含まれる原位置不明のものです。銃弾形状・出土状況から39点が新政府軍が発射したものと考える。 そして2点が同盟軍陣地からの滑落した銃弾と考える。 四斤砲弾2点は、いずれも胴部片で1/16程度に炸裂ものである。
【出土した銃弾】
【出土遺物の考察】
銃弾の種類は、およそ6種が認められる。 エンフィールド銃のプラグ弾、プリチェット弾、さらにそれぞれ長径が大きいもの小さいもの、裾が大きく広がるもの縦につぶれるようにつぶれるものと複数種が確認できる。 今回の調査では幕末の早い段階で輸入されたミニエー銃の銃弾や、スナイドル銃等最新式の銃弾がなく、武器の統一性が比較的あることがわかる。 こういったことから、昨年のように浦山第一陣地を攻撃する銃火器・藩兵は武器の統一性が乏しく、浦山第二陣地を攻撃する銃火器・藩兵は武器の統一性があることがわかる。あるいは同じ長州藩においても奇兵隊と報国隊のように部隊による武装練度の違いを示す可能性を示唆している。 今後、さらに長径や銃弾の先端形状等細かく計測・分析し、細分を図ることでより、具体的に新政府軍の銃器の分類を行うことができる。
【長岡藩陣地の考察】
第一陣地において、砲台が以前より確認されており、2025年度浦山陣地南斜面における出土銃弾の多くが、当該地に打ち込まれたものと考えた。 一方で2026年度の調査においては浦山第二陣地の特に中世城郭会水城の堀切付近に多くの銃弾が打ち込まれた様子が確認できた。 これは以下の3点を推察することができる。 ・会水城の痩尾根そのものを防衛用の胸壁として利用した。銃撃において射界の最も広くなる堀切が必然と同盟軍の火力か集中する範囲となる。 ・堀切が臼砲を据えるための砲台と形状、大きさが類似しており、巧みに利用した可能性がある。 ・いずれにしても長州藩の「的」となった可能性がある。しかし浦山第二陣地付近において死亡した兵士の記録は確認できないため、防衛陣地としては極めて効果的かつ効率的に運用できたと考える。 以上を次回以降の調査に際しての予察の材料としたい。