ホントカ。

遺物がそこにあるだけでも、読み取れることはたくさん【市民学芸員体験講座】第26回

いぶつがそこにあるだけでも よみとれることはたくさん しみんがくげいいんたいけんこうざ だい26かい

「学芸員の仕事は、実に様々。資料の収集、保管、展示をして、さらに講演まで!」 「そんな学芸員の仕事を気軽に体験し、小千谷のまだ見ぬ魅力を一緒に発見しましょう!」 と、そんなことで始まった【市民学芸員体験講座】も2年目に突入。 活動報告や参加者の感想などをご紹介します。

市民学芸員
2025年7月5日公開(2025年11月27日更新)

6月28日 第26回 遺跡調査概論⑥「大明神遺跡~発掘調査中の縄文時代大規模集落を学ぶ~」

(報告 : 市内在住 20代 女性)

昨日はお疲れ様でした。 暑い中での作業でしたが、みんなで解説を聞きながら、両刃やジョレンを使って黒い地面を遺構が見える黄色い土が出るまで掘り進めました。途中で土器や石器、焼土の赤い土、竪穴住居の床などが見つかり、暑さも気にならないくらい楽しく作業できました。差し入れのアイスとても美味しかったです。暑い中で食べるアイスは格別でした! 今回、作業に夢中になって写真をあまり撮れなかったので、次回からは気をつけようと思います。

今回の現場である大明神遺跡は、今から約4000年前の縄文時代中期の遺跡だそうです。昔から「よく出る」と知られていた場所で、田んぼの区画整備が行われることになったため、遺跡が壊れてしまう前に調査を行うことになったとのことです。 作業の前に、すでに発掘されているお墓をみんなで見学しました。赤ちゃんのお墓と思われる場所には、遺骨が入っていたとされる土器が逆さまに埋まっていました。ふせがめといってわざと逆さまに埋めたみたいです。その隣には大人のお墓と思われる場所があり、大きな石が重しのように置かれていました。骨はすでに土に還ってしまっている可能性が高いそうです。 二つのお墓の扱いの違いは、単に子どもと大人の違いなのでしょうか。お墓が住居の近くにあるということが、当時と現代の死に対する価値観の違いを感じました。現代よりも、死が物理的にも精神的にもずっと身近だったのではないかと思いました。 お墓に辿り着くまでには他にも掘られた遺構がいくつもあったのですが、ブルーシートで覆われていたので踏まないように歩くのが大変でした。

遺物がそこにあるだけでも、読み取れることはたくさん【市民学芸員体験講座】第26回

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2枚の写真の1枚目

その後、いよいよ発掘作業が始まりました。2人1組で2m×2mのグリッドに入り、両刃を使って地面を平らにしつつ、遺構のある層まで掘り下げていきました。どこまで掘ればよいのか、掘りすぎていないか、自分ではなかなか判断できず、教えてもらいながら進めました。 作業をしていると「ガリッ」という音がすることがあり、「土器に当たったかも!!」と緊張しっぱなしでした。周囲からも時々「やっちゃった…」という声が聞こえてきて、発掘作業はとても神経を使う作業なのだと改めて実感しました。 広く浅く、全体的に少しずつ掘り下げる。思い切りよく、でも丁寧に。まだまだ感覚を掴むには経験が必要だなと思いつつ作業を続けていると、気づけばあっという間に2時間が経っていました。

遺物がそこにあるだけでも、読み取れることはたくさん【市民学芸員体験講座】第26回

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1枚の写真の1枚目

今回印象的だったのは、竪穴住居の跡についてです。 特に床部分は小千谷では初めて見られたとのことで驚きました。当時の人々は裸足で歩いていたため、床は何度もペタペタと踏みしめられて硬くなっていました。 その地面は、少し白っぽくまだらな色をしていて他の土とは違うと言われましたが、「言われてみれば…確かにそうかも?」という程で私にはその違いがはっきりとはわかりませんでした。でも、この地面を4000年前の人が歩いていたのかと思うと、今自分がそれを見ていることがとても不思議な感じがしました。 床の外側には雨落ち用の溝があり、以前妙高寺跡で見たものが縄文時代からあったと知って驚きました。竪穴住居は床が地面より低くなると思っていたので、すぐ横に雨落ち溝があるのは不思議だなと思いました。建物の中に溝があったのでしょうか。 さらにその上では磨製石斧が見つかり、その滑らかさに感動しました。使用されていたのは、糸魚川の蛇紋岩だそうです。完成までにとても時間がかかると聞き、それだけ便利で画期的だったのだろうと思いました。 同時に、そんなに手間をかけて作った石斧がなぜここにあるのか、疑問に思いました。先端が割れていたので、直せずに捨てたのかもしれません。捨てたのか置いたのか、わかりませんが、出土した位置に意味があるように思えてきました。

遺物がそこにあるだけでも、読み取れることはたくさん【市民学芸員体験講座】第26回

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1枚の写真の1枚目

講座は午前中で一区切りとなりましたが、午後は残った人たちで作業を続けました。 ジョレンで午前中に掘った場所の表面を整え、遺構が見えやすくなるようにしたり、竹べらで竪穴住居の床を丁寧に掘り出したりしました。 竹べらは比較的柔らかいので、硬い床を避けて堀るのにちょうどいいとのことですが、使いこなすのが難しくて、斜めに浅く差し込むように掘るのは緊張しました。大事な床を傷つけてしまわないか心配しながら作業しました。 最後に、今回出土した遺物をグリッドごとに土器と石器に分けて袋に詰める保管作業を行いました。たくさん見つかったので、今後の洗い作業がとても楽しみです。

遺物がそこにあるだけでも、読み取れることはたくさん【市民学芸員体験講座】第26回

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4枚の写真の1枚目

今回の講座では、普段の作業とは違った体験ができてとても楽しかったです。 普段は石器や土器のかけらが出てもその場で詳しい解説はなかなか聞けず、作業中に別の場所で、すごいものが出ても見に行けないことが多いのですが、今回は大明神遺跡について説明を聞きながら、実際の遺構や遺物をじっくり観察することができました。 遺物がそこにあるだけでも、読み取れることはたくさんあるのだと気づきました。情報を正確に記録するため記入ミスが起こらないように今後も注意して作業に取り組んでいきたいです。 今まで主に道具とその作り方や形、素材に注目していましたが、今回の講座で床やお墓などの遺構について聞いていくうちに、当時の人々の暮らしや考え方にも興味がわいてきました。今と変わらないこと、違うこと、わかるところから知っていけたらいいなと思います。 明日からの発掘作業が、今まで以上に楽しみになりました。これからも頑張っていきたいです。ありがとうございました。

ホントカ。小千谷市ひと・まち・文化共創拠点
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休館日:毎月第2, 4火曜日及び年末年始
第2・第4火曜日
祝日に当たるときは、その翌日以後の最初の休日でない日
年末年始
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食アンカー
毎週月・火曜日、年末年始

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