大明神遺跡発掘調査記録 chapter9≪雨天作業/2025年6月19日≫
だいみょうじんいせきはっくつちょうさきろく ちゃぷたー9 うてんさぎょう 2025ねん6がつ19にち遺跡は雨が降ると作業ができなくなります。それは、遺跡の土が滑りやすいため安全に作業ができない、遺跡の濡れた土を踏みしめると遺跡が壊れてしまう、遺跡が汚れて土をきれいにするために時間が大きくかかってしまう、様々な理由があります。
【雨天の日に、出土した遺物を洗う】
だからといって、遺跡の作業が無いというわけではありません。雨天だからこそできる作業、それが「遺物洗浄」です。遺物を丁寧に水洗いすることで、今どのような時代のどのような性格の遺跡を掘っているのか、改めて考えるきっかけになります。
【遺物洗浄中、時々見ることが出来る貴重な資料】
このように遺物を水洗いしている最中の楽しみは、「誰でもわかる遺物」に出会った時です。例えば、この写真にある資料は「打製石斧」です。より一層思い入れがあることで、特に入念に洗う力がこもってしまいそうですが、遺物は4,000年ぶりに地上に現れたもので、非常に弱っています。このため丁寧に優しく優しく洗って上げなければ壊れてしまうことがあります。一時の感情に流されず、まさに精神の鍛錬のように水洗いへ望まなければなりません。
文:小千谷市学芸員 白井雅明