【みんなの手で、未来づくり大作戦】2025-特別展-小千谷絵紙保存会事務局
みんなのてで みらいづくりだいさくせん 2025 とくべつてん おぢやえがみほぞんかいじむきょく小千谷の文化財を受け継ぎ未来につなげる人たちの、手と声を、聞き取り調査をもとに紹介します。
絵紙と雛祭りの風習の保存と継承 2025-特別展② ― 絵紙をただの浮世絵にしない ― 小千谷絵紙保存会事務局(1973年生まれ)
① あなたは文化財に関するどんな活動をしていますか
絵紙と、絵紙を雛祭りに飾る風習の保存と継承をする小千谷絵紙保存会の事務局をしています。
② いつからその活動をしていますか?
事務局をするようになったのは、2017年から。 もともと浮世絵が好きだったから、東京や新潟市で浮世絵展があると観に行っていて、小千谷に浮世絵があるというのは、何となく知っていた。実際に見たのは2009年に豊州の平木浮世絵美術館で、小千谷の絵紙とお雛様の展示があったとき。ちょうど友人に会いに上京したときにやっていて、じゃあついでに行くかと。だから、絵紙を初めて見たのは小千谷ではなく東京(笑) それから、また少し経って2013年くらいから「ひいな祭り」を見に照専寺の和順会館に行ったりしていたら、2016年だったかな?絵紙の保存を中心になってやっていた表久のお父さん(横山久一郎さん)につかまって、絵紙調査隊が調査している市民会館に連れて行かれて、気づいたらそのまま調査隊に参加するようになった。 そんなこんなで絵紙に関わるようになったけど、2017年の「ひいな祭り」をやるにあたり、イベントを取りまとめる人を探しているという話がでてきて。ちょうど、私が前の仕事を辞めて家にいたから時間もあって、絵紙にも関わっているし、「やってくれないか」ということになってしまった。で、今度は気づいたら「ひいな祭り」もやって、そのまま絵紙保存会の事務局にもなってしまった。 今は「ひいな祭り」は市民有志の実行委員会がやっていて、保存会はその一員ということになったけど、保存会の事務局は変わらずやっている。
③ その活動でやってみたいことは何ですか?
大きい会場もいいけど、昔ながらの家で絵紙とお雛様を飾ってみたい。天井が低くて、ちょっと薄暗い感じ。そんなところで、昔はこんな感じだったのかなぁと思いながら楽しみたい。
④ その活動で大切にしていることは何ですか?
「絵紙」という言葉を残すこと。 絵紙は浮世絵なんだけど、小千谷で「絵紙」というと浮世絵そのものをいうこともあれば、お雛様用につなぎ合わせた状態の浮世絵のこともある。時々「絵紙じゃなくて浮世絵でいいじゃん」と言われるけど、なんとなくそうじゃないんだよなぁと。絵紙はやっぱりただの浮世絵ではない気がする。だから、絵紙を紹介するときは「絵紙≒浮世絵」「絵紙と浮世絵、同じだけどちょっと違う」と言っている。 じゃあ、何が違うかというと、例えば距離感。額に入ってきちんと飾ってあると「浮世絵」だけど、お雛様と一緒に飾ってあるのはやっぱり「絵紙」。あと、絵紙が小千谷に残った背景だったり、それを楽しんできた家だったり、まちの人が込めた思いみたいなもの。だから、ただ残すんじゃなくて、そういった歴史も一緒に残していくのが大事なのかなと思っている。 「絵紙」という言葉を残すために、まずモノを残す。でも、モノだけあっても何なのかわからなくなったらダメなので、ちゃんと由来や使い方を残す。そして、一番大事なのは、できる限り実際に飾って、見てもらって、一緒に楽しんでいく。絵紙をただの浮世絵にしないためにも、雛祭りの風習を生きた文化として続けていきたい。
⑤ 小千谷の好きなもの、ことは何ですか?
絵紙(笑) お金を払わずに、こんなにたくさんの浮世絵を見ることができる場所は他になかなかない。結婚して小千谷に来て、絵紙と出会って、いろんな人と出会って。以前だったら絶対やらないようなこともすることになり、幸か不幸か人生が大きく変わってしまった。 亡くなった表久のお父さんをはじめとする小千谷の人や、30年も小千谷に来ている絵紙調査隊の人たちが、すごく楽しい人ばかりで、いろいろ大変なことがあっても一緒に飲んだりすると、なんだか頑張れそうな気がして今に至っている。 これまで、たくさんの人たちが絵紙を残そうと頑張ってきたことを知っているから、私も楽しいが勝っている間は、微力ながら絵紙を次に伝えるお手伝いをしたいと思う。絵紙に関わる人たちを含めて、やっぱり絵紙が好きなんだろうな。
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