大明神遺跡発掘調査記録 chapter2≪調査前の準備/2025年6月10日≫
だいみょうじんいせきはっくつちょうさきろく ちゃぷたー2 ちょうさまえのじゅんび にせんにじゅうごねんろくがつとおか発掘調査は、ある日突然スコップで掘り始めるわけではありません。しっかりと準備をして、遺跡のことをしっかり把握しなければなりません。なぜなら、遺跡は一度壊してしまうと、あるいは掘ってしまうと二度と元に戻せない、たった一度キリしかチャンスの無いことだからです。さらに発掘調査は、30名くらいの発掘調査員や発掘作業員と呼ばれる人達の協力により行うことができます。こうした人達が安全に気持ちよく働く環境を整える必要があります。
〈発掘調査を行う場所の土を確かめる〉
あまり知られていませんが、土は地域によって全く違います。黒い土、黄色い土、青い土、赤い土、固い土、柔らかい土、粘土、砂、キリがないくらい様々な土があります。 遺跡は、何百年、何千年という長い時間をかけて埋まっていて、この様々な土によって守られています。その遺跡を掘る際に最も注意を払う大切なことが、どの土から遺物が出土して、どの土の上に人が住んでいたのか、ということです。遺跡を掘る職人兼責任者である「発掘調査員」は、調査を行う準備としてまずこの土の状況を確認します。 令和7年度の大明神遺跡発掘調査範囲では、黒い土の中に土器・石器が入っており、黄色い土の地面の上に縄文時代の人々が暮らしていたことが確認できました。
〈発掘作業をする人達が休む場所を作る〉
「プレハブ」と呼ばれる、組み合わせることにより小さくも大きくもつくることができる便利な構造の建物です。よく工事現場で使われるものです。 休む場所だけでなく、発掘道具を置く場所、出土した土器・石器を洗う場所など様々な使い方をします。 壁が薄く、大丈夫かな?と思うかもしれませんが、エアコンも完備されていますので、ゆっくり休むことができます。
文:小千谷市学芸員 白井雅明