《第3回》西脇順三郎賞・西脇順三郎賞新人賞
だいさんかいにしわきじゅんざぶろうしょうにしわきじゅんざぶろうしょうしんじんしょう西脇順三郎賞・西脇順三郎賞 新人賞は、現代の詩界を担う詩人の称揚と次代を創る新人の発掘をを目的に令和4年に創設されました。令和5年8月1日から令和6年7月31日までに刊行された詩集を対象とした西脇順三郎賞には公募と推薦で66点、詩篇を対象とした西脇順三郎賞新人賞には408点の応募がありました。 令和7年2月2日・3日に小千谷市において二次選考会を開催し、下記のとおり受賞作品を決定しました。
詩集の部:西脇順三郎賞(1点)
- 著者
- 野木京子
- 詩集名
- 『廃屋の月』
- 発行所
- 書肆子午線
- 発行年
- 令和6年3月
- 著者略歴
- 1957年熊本県生まれ。神奈川県横浜市在住。立教大学文学部卒業。詩集に『銀の惑星その水棲者たち』(1995年)、『ヒムル、割れた野原』(2006年、第57回H氏賞)、『クワカ ケルル』(2018年)ほか。エッセイ集に『空を流れる川――ヒロシマ幻視行』(2010年)。
詩篇の部:西脇順三郎賞新人賞(1点)
- 著者
- みみやさきちがこ
- 詩篇名
- 「ほこりのすみれ」
- 著者略歴
- 1985年愛媛県生まれ。東京都中野区在住。桜美林大学文学部 総合文化学科演劇専攻卒業。
すべてさわって、お辞儀草の葉っぱを、すべてお辞儀させる、葉っぱはわたしのように疲れていて…
詩篇の部:西脇順三郎賞新人賞奨励賞(2点)
著者名50音順
- 著者
- 有吉玲(福岡県)
- 詩篇名
- 「ダンスクラスの記録(日本語ヴァージョン)」
- 著者
- 勝部信雄(東京都)
- 詩篇名
- 「聖ルチア」
私たちという参加者がいる。シェフは一人で、寄せた眉根のためか、悲しげなその人が笑う。…
光の像型として咎を辿った人の 軌跡を仰ぎ 樹々の枝を…
選考委員長の講評
二次選考は、2月2日3日の両日にわたって、「小千谷市ひと・まち・文化共創拠点ホントカ。」で行われた。2日午後は、本賞である詩集部門の選考に充てられた。まず、最終候補作品の6冊をめぐって一冊ずつ丁寧に検討した結果、久谷雉『花束』、高塚謙太郎『哥不』、野木京子『廃屋の月』、和合亮一『such and such』の4冊に絞り込まれ、さらに徹底的に討議が重ねられた。 詩的書法のレベルだけ問うなら、久谷雉の『花束』と高塚謙太郎の『哥不』が優位であろう。しかしテーマ的には物足りないものが残った。前者は「戦争」へ、後者は「王朝」へと回顧的眼差しを向けるが、いずれも自己の領分に閉じこもって、開かれた感じがあまり伝わってこない。逆に和合亮一の『such and such』の場合は、現在から未来へと十分に開かれているが、未来を未来として思い描けない今の時代にあっては、どこか発語が上滑りしてしまうようだ。 こうして、野木詩集における喪の主題の深さと広がりに、自然と選考委員全員の気持ちが引き寄せられていった。そこでは、死者を弔うとはどういうことかについて、意味深い逆説が語られている。死者を弔うとは、死別の悲しみのうちに死者をあの世へと送り出すことではない。むしろ死者をこの世にとどまらせ、死者とともに生きることである。そんなことができるのか。できると詩人はいう。幻視の力を借り、アニミズム的な世界観を排除しないならば。この条件の付帯こそは、喪の作業を思想からポエジーへと高らしめる要諦であり、野木京子は、『廃屋の月』においてそれを静謐に言語化してみせたのである。すでに富田砕花賞を受賞している詩集であるが、それでもなお、西脇順三郎賞を贈るのにまことにふさわしい。 翌3日午前は、詩篇部門の選考を行なった。こちらは奔放な言葉の繰り出し方が面白いみみやさきちがこの「ほこりのすみれ」が、選考委員の圧倒的支持を得て新人賞に決まった。奨励賞の2篇については、まず、荒削りながら溌剌とした有吉玲の「ダンスクラスの記録」に、今後の表現の可能性を託そうということになった。もう一篇をめぐっては実力派揃いで紛糾したが、曲折を経た末に、オーセンティックな詩の雰囲気がある勝部信雄の「聖ルチア」に決まった。
選考委員会
- 委員長
- 野村喜和夫(詩人)
- 委員
- 朝吹亮二(詩人)、 阿部日奈子(詩人) 、加藤孝男(歌人) 、杉本真維子(詩人) 五十音順
賞
- 西脇順三郎賞
- 正賞:賞状 / 副賞:30万円
- 西脇順三郎賞 新人賞
- 正賞:賞状 / 副賞:3万円
- 西脇順三郎賞 新人賞 奨励賞
- 正賞:賞状 / 副賞:1万円
贈呈式
- 開催日
- 令和7年3月8日(土曜日)
- 時間
- 13:30 受付(入場無料) / 14:00 西脇順三郎賞ふるさと賞表彰式 / 15:00 西脇順三郎賞・新人賞贈呈式
- 会場
- 小千谷市ひと・まち・文化共創拠点ホントカ。
- 電話
- 0258-82-2724
運営
- 主催
- 西脇順三郎賞実行委員会(構成団体:小千谷市・小千谷市教育委員会・西脇順三郎を偲ぶ会)
- 共催
- 慶應義塾大学アート・センター
- 後援
- 新潟日報社、小千谷新聞社
最終候補作品
1次選考会での最終候補作品は下記のとおりです。(著者名五十音順)
西脇順三郎賞(詩集部門):6点
- 河野俊一『ストーマの朝』(発行:土曜美術社出版販売、令和6年6月)
- 久谷雉『花束』(発行:思潮社、令和6年7月)
- 髙塚謙太郎『哥不』(発行:ヰ層楽器、令和6年1月)
- 夏野雨『雲のからだ 海のからだ』(発行:夏野雨、令和5年10月)
- 野木京子『廃屋の月』(発行:書肆子午線、令和6年3月)
- 和合亮一『such and such』(発行:思潮社、令和5年10月)
西脇順三郎賞新人賞(詩篇部門):7点
文芸誌『現代詩手帖』(思潮社)3月号に受賞作の一部と選考会の講評が掲載される予定です。
- 有吉玲『ダンスクラスの記録(日本語のヴァージョン)』(福岡都)
- 勝部信雄『聖ルチア』(東京都)
- 鈴木康太『茎』(東京都)
- 関根健人『桃を剥く』(埼玉県)
- 南田偵一『モリシンソウ』(東京都)
- みみやさきちがこ『ほこりのすみれ』(東京都)
- 由希『夜の女』(栃木県)
- ゆきかわゆう『月卵』(東京都)