《第4回》西脇順三郎賞・西脇順三郎賞新人賞
だいよんかいにしわきじゅんざぶろうしょうにしわきじゅんざぶろうしょうしんじんしょう「西脇順三郎賞」「西脇順三郎賞新人賞」は、現代の詩界を担う詩人の称揚と時代を創る新人の発掘を図ることを目的に令和4年に創設した賞です。 令和6年8月1日から令和7年7月31日までに刊行された現代詩の詩集を対象とした第4回「西脇順三郎賞」には98点、詩篇を対象とした「西脇順三郎賞新人賞」には529点の応募がありました。 市内で最終選考会を開催し、以下のとおり受賞作品を決定しましたのでお知らせします。 なお、贈呈式は、3月7日(土曜日)午後2時からホントカ。で開催されます。
詩集の部
西脇順三郎賞:1点
- 著者
- カニエ・ナハ
- 詩集名
- 『逗子』
- 発行者
- カニエ・ナハ
- 発行年
- 令和7年4月
- 著者略歴
- 2010年「ユリイカの新人」としてデビュー、2015年エルスール財団新人賞、2016年詩集『用意された食卓』で第21回中原中也賞。2025年、初の集成『カニエ・ナハ詩集』(青土社)を刊行。
- 受賞のことば
- 憧憬し、その影を追いかけてきた、私にとって「幻影の人」そのものであるような詩人の名が冠された賞をいただき、大変光栄に、嬉しく思うのと共に、身が引き締まる思いがしています。詩人を育み、その「永遠の旅人」が最後に回帰した、あまりにも特別な地を、いずれ必ず訪れたく思慕してきましたが、思いがけずこのようなご縁をいただき、まことに仕合せに感じております。この度は本当にありがとうございます。この地から、また新たな詩の旅を始める所存でございます。
詩篇の部
西脇順三郎賞新人賞:1点
- 著者
- 高野泰地
- 詩篇名
- 「手紙」
- 著者略歴
- 1987年生まれ。福井県出身、東京都在住。学習院大学大学院人文科学研究科臨床心理学専攻修了。臨床心理士。音楽活動を経て詩を書き始める。現在、川口晴美氏の教室で詩を学んでいる。詩誌『mimicer』同人。
- 受賞のことば
- 現代詩に携わる者として、西脇順三郎という存在は特別です。その氏の名を冠した賞を賜り大変光栄です。私にとって、詩を書くことは、価値なきものとして捨て去られたものたちを拾い上げ、光を呼び起こすことと言えるかもしれません。詩は、未知の宝石です。私は、西脇氏の詩からそんな宝石を見つけては懐にしまってきました。氏には遠く及びませんが、私もこれから言葉を光らせてみたいです。ありがとうございました。
手紙
1枚目
いちまいめ西脇順三郎賞新人賞奨励賞:2点
- 著者
- 成清 朔
- 詩篇名
- 「日蔭の骨」
- 受賞のことば
- ひとときの自分を通りすぎていくことばを、詩によって保存された景色を取り出して眺めてみたときに、思い出すことができたらしい、とよく考えています。それが喜びであれ、悲しみであれ、励ましであれ、憎しみであれ、どんなものであったとしても、詩のなかでは生身で、それはとても怖くもあるし、とても自然なことのようにも思えます。そういった意味で、「日蔭の骨」はとても大切な詩です。選んでいただきありがとうございます。
日蔭の骨
1枚目
いちまいめ- 著者
- 柴田 爽矢
- 詩篇名
- 「幽霊論」
- 受賞のことば
- 詩はわたしが書くのではないという気がしています。わたしという存在を含めた環境から生じるその一行にいかに耳を立てていられるか。茄子のふくらみに白く写るものにいかに眼を光らせていられるか。書くということにわたしを献身し尽くせるか。もう誤魔化せないという思いです。選考委員の皆様、関係者の皆様、偉大なる西脇順三郎様、これまで一瞬でも出逢うことのあったすべての人や物たち、そしてとりわけ愛しいひとりの幽霊に感謝申し上げます。
幽霊論
1枚目
いちまいめ選考委員長の講評
今年の選考会は、まず1月16日、オンラインで一次選考を行い、最終候補詩集として鈴木正枝『密かに青く、深く』、十田撓子『あさつなぎ』、岡本啓『ノックがあった』、カニエ・ナハ『逗子』、和合亮一『LIFE』の5冊をピックアップした。 二次選考は1月31日と2月1日の両日にわたって、「小千谷市ひと・まち・文化共創拠点ホントカ。」で行われた。激論のすえ受賞作となったカニエ・ナハの『逗子』は、何から何まで異様であり、謎である。だいいち、人を喰ったように薄い。表紙下半分に「陸」「畝」「声」ほか17個の漢字が三段に並べられてあり、それがそのまま目次らしいが、本文を開くと、意外にも(?)密度ある本格の詩の空間が控えている。そこではたとえば戦争の主題が通奏低音のように、あるいはサブリミナルのように現れているが、それは選び取られたというより、どこか身体の近くから暴力的に詩行に入り込んで、主体の今に干渉するかのようだ。なんという記憶と予感と現在の相互嵌入であろうか。こうして『逗子』は、たくみとたくらみに満ちた不穏な冊子である。書物ではない、冊子だ。恐るべき冊子の挑戦である。私たち選考委員を、その挑発に乗ってみようかという気にさせるほどに。 『逗子』ほどのインパクトはないが、他の最終候補詩集も素晴らしいものばかりだった。和合亮一の『LIFE』は谷川俊太郎亡き後の透明な不特定多数的主体を担おうとする。岡本啓の『ノックがあった』は都市を擦過する主体の傷が詩的発話として響きの粒子のように飛び交う。十田撓子の『あさつなぎ』は独特の魔のナラティブに北方の土地の匂いを纏わせる。鈴木正枝の『密かに青く、深く』はかけがえのない他社との逆説的な距離を冷徹なまでに描き出す。
選考委員会
委員長:野村喜和夫(詩人) 委員:朝吹亮二(詩人)、阿部日奈子(詩人)、加藤孝男(歌人)、杉本真維子(詩人) 50音順
賞
- 西脇順三郎賞
- 正賞:賞状 / 副賞:30万円
- 西脇順三郎賞新人賞
- 正賞:賞状 / 副賞:3万円
- 西脇順三郎賞新人賞奨励賞
- 正賞:賞状 / 副賞:1万円
第4回西脇順三郎賞贈呈式・西脇順三郎賞ふるさと賞表彰式
- 開催日
- 令和8年3月7日(土曜日)
- 時間
- 午後1時30分~:受付(入場無料)/午後2時~:西脇順三郎賞贈呈式・西脇順三郎賞ふるさと賞表彰式
- 会場
- 小千谷市ひと・まち・文化共創拠点ホントカ。(電話:0258-82-2724)
運営
- 主催
- 西脇順三郎賞実行委員会(構成団体:小千谷市・小千谷市教育委員会・西脇順三郎を偲ぶ会)
- 共催
- 慶應義塾大学アート・センター
- 後援
- 新潟日報社、小千谷新聞社