押絵のはなし
雪国小千谷の雛祭りはとても華やかです。雛飾りのある部屋の壁を絵紙(浮世絵)で彩り、雛壇には雛人形や雛道具以外にも、様々な人形や玩具、手毬などが飾られます。 押絵もまた、小千谷でよく見かける雛飾りの一つです。 大正の初め頃に、小千谷では押絵を作るブームが起きたといわれており、町の人たちが集まり、京都からきた先生に押絵の作り方を習ったそうです。 市内には、今でもたくさんの押絵が残っており、その中には町の人が作ったものだけでなく、先生の作品もあります。 丸茂(まるも)さんの家に伝わる押絵は、大正時代のご先祖が作ったもので、台に立て、雛祭りにお雛様とともに飾ったそうです。 「伽羅仙台萩」や「白波五人男」の一場面に「仮名手本忠臣蔵全段」といった歌舞伎を題材にしたものが多いですが、雛祭りらしい官女や右大臣に左大臣、桃太郎などの押絵もあり、種類も大きさも様々なのが特徴です。
白波五人男
官女
大臣
また、珍しいことに製作途中の押絵がたくさん残されており、どうやって作ったのかを知ることができる貴重な資料となっています。
押絵ができるまで
① 絵紙などから製作する対象の絵を選び、和紙など薄く透ける紙に敷いて描き写します。
② ①を厚紙に貼り、切り抜きます。厚紙は台紙の分と、パーツ作成用の2枚用意します。
③ それぞれのパーツごとに相応しい布を選び、綿を入れふっくらとさせます。(左が台紙、右がパーツ作成用紙)
④ 台紙に、作ったパーツを貼りつけていきます。着物の線などにくぼみで陰影をつける場合、鋭利な物で上から押す場合があります。
⑤ 顔などの細部は、直接描きこみます。
⑥ 台に立てて飾るものは、裏面に棒を置き和紙で固定します。
⑦ 出来上がり。
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