大明神遺跡発掘調査記録 chapter12≪遺跡の大敵/2025年6月26日≫
だいみょうじんいせきはっくつちょうさきろく ちゃぷたー12 いせきのたいてき 2025ねん6がつ26にち遺跡の大敵が「水」です。
このため、作業前日に溜まっている水を全て除去する必要があります。この水を汲むという作業、通常であれば柄杓やバケツで思いきり汲み上げることが想像できることでしょう。しかしそうしてしまうと、遺跡の弱った土ごと汲み上げてしまい、遺跡を壊してしまいます。
【みんなで水を汲む様子】
では、どうやって水を汲むかというと、「手箕」を使うのです。本来遺跡での手箕の使い方は、掘った土を入れて排土する、というものですが、実は身が平らで薄いため地面に丁度良く圧着することにより、水を汲むのに非常に向いています。
もう一つがスポンジです。スポンジは通常ものを洗うのに使われることが多いですが、水を吸い込む性質があることから、遺跡の水とり作業に重宝します。いずれの方法でも汲み取った水をバケツに溜めて、調査区外へ捨てることで、水分をなくします。また水分が十分にぬけるまで、湿った地面を踏まないよう十分気をつけなければなりません。このようにしながら遺跡を現代の人間が意図しないで壊してしまうことをさけるのです。
文:小千谷市学芸員 白井雅明